社長が決断に迷ったときに試す方法!

経営者の仕事は「決断する」ことです。それでも、どっちに向かうか決めきれないときは、次に紹介する方法を試してみてはいかがでしょう。今回の講義が、経営者の背中を押す結果になれば、コンサルタントとして、こんなに嬉しいことはありません。

期待値算定法

これは、投資家がよく用いる手法で、簡単な数式で表現できます。例えば短期的な利益を追及すればこの式だけでよいですが、中長期的に検討するのが経営ですので、当然これだけでは判定できません。ここでは、ある程度比較対象がイーブンで甲乙つけ難い場合を想定してみましょう。

 

まず、説明用に簡単な期待値の例を見てみましょう。期待値とは、発生する結果と、その確率を掛けた値を合計した平均です。

【例】100円投資して 80円になる確率が70%、200円になる確率が30%の場合
80円 × 0.7 + 200 × 0.3 = 116円 ⇒ 投資にGoサイン

では、もう少し経営チックに、A地区とB地区に出店を検討している経営者を想定してみましょう。
例題として、PHP研究所出版「一番役立つ!ロジカルシンキング」で示された例に若干加筆してみます。

【例】A地区に出店した場合、80%の確率で月に100万円の利益がでるが、20%の確率で10万円の損失がでる。B地区だと立地がよく50%の確率で月に150万円の利益がでるが家賃が高いので50%の確率で20万円の損失がでる。
A:100 × 0.8 +Δ10 × 20% = 78万円
B:200 × 0.5 +Δ30 × 50% = 75万円 ⇒ AでGoサイン

ポイントは正も負も合わせて100%で評価することです。計算してみれば分かりますが、利益だけの期待値ではBが優越します。負も合わせることの重要性が分かりますね。

 

あとは、「近くで交通事故が多いから嫌だ」とか、「駐車場が狭くてぶつけそうで嫌だ」など、定量化できないものは、個別に評価する必要がありますし、例え確率が僅かでも事業の存続が危ぶまれる損失の可能性の優劣の差がつけば(保険という手もあるが)、リスクアセスメントとして、これも考慮すべきです。

 

会社経営上、まったくのイーブン比較ということはないかと思いますが、投資家はこうやって決めています。

 

少し逸脱しますが、地元A店の10,000円の商品が、インターネットで5,000円であれば、多くの人がネットで買います。私はface to faceのA店で買う理由を探します。「Aさんから買いたいか?」、商品にお金を払うのではなく、Aさんにお金を払うのです。Aさんとの繋がりが正も負も、無限のコミュニティを生むのです。

経営理念に立ち戻って考える

それでも決めかねるときは、経営理念に立ち戻り、どちらが進む道かを見極めます。会社は利益を追及します。その利益を追及した結果に、何をしたいのかが経営理念です。

「地域社会に貢献する」

この場合は、多少損をしても、その道を進むべきです。自分だけの利益でよければ、一念発起したでしょうか。たとえ表明してなくても多くの起業家はこれに該当するのではないでしょうか。

「特定顧客のみ貢献する」

この場合は、顧客の利益を追求する道を進むべきです。偏見かもしれませんが、小規模な投資顧問業であれば、この理念が該当するでしょう。

「社長個人の資産形成に貢献する」

この場合は、自分優先で進むべきです。そういう目的で設立したセカンドカンパニーもあるでしょう。

私の持論ですが、経営で大事なことは「何をするか!」を決めること。でも、もっと大事なのは「何をやらないか!」です。経営理念はここでも道標・羅針盤になります。

 

さて、皆様の経営理念すなわち進路は何処でしょうか。経営理念に従えば、短期的な利益にはならないかもしれませんが、長期的には会社の実りになるはずです。

利益・お金の優先順位を見極める

目先の利益に拘りすぎると、全体像が見えなくなります。これを経済用語で「近視眼」といいます。経営者は近視眼になってはいけません。「お金は後から着いてくる」と信じましょう。そのための準備を怠ってはいけません。

 

安田桂生さん著書「1000円札は拾うな」では、目先の1000円を拾うと後の100万円を逃すという総括です。会社員は目先の残業代よりも、仕事を切り上げ、将来の自分に投資すべきです。残業をやめれば給料は増えます。会社経営も同じです。繰り返しになりますが経営者は「近視眼」になってはいけません。

 

理念に合わぬお金なら頂かない方が将来的に得。軸がぶれると利益が出ません。また、やりたくない仕事もありますが、これが将来に繋がる可能性があれば損をしてでもやるべきです。社長の大きな仕事は「決めること」と「見極めること」に尽きます。

まとめ

さて、上記の手法を実践した皆様には、きっと答えが見えているはずですので、これに気付きましょう。ガードばかりではなく、あえて相手の土俵に乗ってみることも必要です。失敗したっていい。決断したことが重要。失敗にも「ただの失敗」と「価値のある失敗」があるのです。しかし「石の上にも3年」とはよくいったもので、効果が出るまで3年はかかるので、そのくらいの効果測定期間は計画に見込んでおいてください。

 

最後に、幕末の志士、高杉晋作がこんな名言を残してくれています。「面白きこともなき世を面白く…」と。経営も仕事もつまらないこと、面倒なことが大半です。しかし、いい仲間と巡り逢いながら、楽しむ努力が必要です。経営者の道を進んだ皆様には、きっとその才能があります。