例えばマネージメント能力に長けた優秀な従業員がいる場合、「そろそろ役員にして経営に参画してもらいたい」と考えることもあるでしょう。なお、大前提ですが、技術があることだけで役員登用ということは避けなければなりません。
役員登用の結果としては、上手くいったケースもあれば、そうならなかったケースもありますが、ここで上手くいかなかったケースの大きなポイントとして、次の二点を挙げてみます。
問題点は概ね共通していて、@は「役員としていい働き」をしていることを前提とすれば、社長とのアツレキから、やがて「何を提言しても変わらない!」ことから、Aの無気力役員に以降してしまいます。
もっとも、最初からAの場合もありますが、「社長の目に狂いはない」ことを前提とすれば、社長に遠慮してしまっているのかもしれません。
社長の想いとしては、役員としての責任感を「新たに」もってほしいので、多少なりの株式を持たせて、それなりの決定権を与えることも検討しましょう。新任役員も少数株主としての権限も持つことで積極的な経営参画が期待できます。
新株の発行については、もちろん経営権に食い込むような割合での発行は避けるべきですし、将来の株式の分散リスクを防ぐために、退職後や役員を辞めた時に株式を代表者に無償譲渡するなどの特約は必要です。
このプランでは役員登用と同時に、資本金の増加も狙っているので、例えば50万円の新株を持たせて、下の例のように役員報酬として基本給を2万円アップさせて、同時に会社への返済金として2万円控除するなど、任期中で清算できるようにしておけば、本人の負担も少ないでしょう。
資本金の増額は登記簿に時系列で記載されるので、登記簿上も年々成長している会社をアピールできます。その他、登記コストは、役員追加1万円と、新株発行3万円の登録免許税がかかります。
最後に危機管理の目からチェックポイントを挙げておきます。
以上、当研究所の考え方を記載させて頂きました。当研究所では、小規模会社支援の一環から、登録専門家を派遣し、役員登用と新株発行のサポートを行っています。