会計において、合計チェック法は経理のセオリーであり、最低限のチェック機能です。数字が合わないとき、会計ソフトの合計と手元帳簿の合計の差額を算出してみると、見覚えのある数字であることが多いのです入力ミスについては経験上、1ヵ月の現金出納帳で1件程度で、その多くが、「現金で処理するものが普通預金や未払金で処理されていた」というものです。
会計ソフトでは、特によく使うものを「仕訳登録」しますが、そこで通常は普通預金で引き落とされるものが、イレギュラーで現金払いした場合に起こるミスです。また、「学習機能」という前に使用した機能が優先される仕組みでのミスもあります。スマホの予測文字変換も一周回ってミスが多いですね。
会計ソフトに限ったことではありませんが、「便利さ」には「副作用」があるのです。この「副作用」を知ることにより、さらに「便利さ」を極めることができます。
今宵は、「数字が合わない時に知っておくべき便利な豆知識」(月刊「企業実務」2012年5月号より)を参考に、この周辺知識を紹介します。
ちなみに、元々の書類の間違いや、人間工学?的に関連のないランダムな数値などは対象外です。
また、試す優先順位は、紹介する順番でよいと思います。
先に記載したとおり、会計ソフト入力時に違う科目をミスタッチしてしまった可能性があります。先ほど入力した記憶がまだ新しければ、見覚えがある金額である場合が多く、会計ソフトの伝票番号を追ってみると、飛んでいる箇所があるはずです。その伝票を呼び出せば、ミスタッチしていたものが分かります。
貸借(左右)を間違えているケースは、単純に差異は2倍になるので、まず2で割ってみます。割りきれれば、その箇所を前期[1]にならって探します。
【例】差異1,900円÷2=950 → この950円の伝票を探す!
正しくは100円なのに誤って1,000円と入力してしまったときの入力ミスはこの方法で発見できます。
9と0.9で割り切れた場合、この2つの金額を探してみるとよいでしょう。
【例】正4,000/誤400/差3,600÷9=400円を探す!
【例】正400/誤4,000/差3,600÷0.9=4,000円を探す!
前期[3]において、9で割り切れたがヒットしないケースでは、直接的な解決ではないですが、位ミスの可能性があります。下記[5]と合わせて、ミス伝票の発見の助けになるかもしれません。
例えば、872を827と位をミスしても、差額は常に9で割り切れます。ここで確認してみましょう。
【例】872−827=45、45÷9=5…下記@の間違い
【例】3365−3635=270、270÷9=30…下記Aの間違い
【例】8765−7865=900、900÷9=100…下記Bの間違い
@ 9以下の場合…………………1と10の位の誤り
A 10以上99以下の場合………10と100の位の誤り
B 100以上999以下の場合……100と1000の位の誤り
上記までのように、直接的な解決ではないですが、差異が3,000とか30など3絡みの場合には、6と9を間違えていることがあります。電卓やパソコンのキーボード上で上下に並んでいるので、このような入力ミスは多くなりがちです。6や9が入っている伝票をもう一度確認してみましょう。
2019年にドラマ「これは経費で落ちません!」でもベテラン経理さんが新人さんを助けていましたね。